歯を失う原因第1位は歯周病です!
歯を失う原因を聞かれた場合、多くの方が一番に「むし歯」と答えるのではないでしょうか。しかし、日本人が歯を失う原因の第1位は、実はむし歯ではなく歯周病です。お口の中の歯周病菌が歯ぐきや歯を支える顎の骨を破壊していく恐ろしい病気、歯周病。歯ぐきが赤く腫れる「歯肉炎」からはじまり、徐々に歯ぐきの内側の顎の骨に進行して「歯周炎」になります。悪化すると膿が出るため口臭が現れ、歯はどんどんグラグラし、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病の進行段階と症状
進行段階 | 症状 |
歯肉炎 |
歯ぐきに炎症が起きている状態。ブラッシングの際などに出血しやすくなります。歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の溝)の深さは、3mm程度です。 |
軽度歯周炎 |
顎の骨が溶けはじめた状態。歯ぐきが腫れ、ブラッシングの際に出血が見られるだけでなく、冷たい水がしみたり、口臭が出たりします。歯周ポケットの深さは、4mm程度です。 |
中等度歯周炎 |
顎の骨が半分くらい溶けた状態。歯を指で押すとグラつきます。歯ぐきの腫れや出血に加え、歯が浮くような感じがしたり、口臭が強くなったりします。歯周ポケットの深さは、6mm程度です。 |
重度歯周炎 |
顎の骨の3分の2以上が溶けた状態。歯のグラつきがひどくなります。歯ぐきが下がり歯根が露出し歯が長く見えたり、歯と歯ぐきの境目から膿が出て口臭がよりきつくなったりします。この状態を放置すると、最悪の場合、歯が抜け落ちます。歯周ポケットの深さは、8mm程度と非常に深くなります。 |
歯周病になる原因
歯周病の影響は、歯を奪うことだけではありません。最近では全身との深い関係が問題視されています。お口の問題だけに留まらない歯周病を治療・予防し、全身の健康を守りましょう。
【原因1】 | 【原因2】 |
だ液を介して歯周病菌が肺に入ると、炎症が引き起こされ肺炎になることがあります。
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歯周病菌が血管に入ることで血栓ができ、心筋梗塞や動脈硬化、心内膜炎などを起こすことがあるといわれています。
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【原因3】 | 【原因4】 |
糖尿病にかかっていると歯周病になりやすくなり、逆に歯周病によって糖尿病が悪化しやすくなることもあります。
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妊娠中に歯周病にかかると筋肉が収縮を起こし、早産や低体重児出産を招くことがあります。
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歯周病の検査方法と治療法
初期であれば治療は簡単に済みますが、後期になると外科手術が必要になり、さらに悪化した場合には手のうちようがない状況になってしまいます。検査を受け、それぞれの段階に合った治療を受けましょう。
検査方法
ポケット検査
歯周病が悪化すると、歯周ポケットは徐々に深くなっていきます。歯周ポケットの深さを測り、進行度を調べます。
レントゲン検査
歯周病の進行につれ、顎の骨は徐々に溶かされていきます。レントゲンによって顎の骨の状態を確認し、進行度を調べます。
歯周病が進行すると、歯はどんどんグラグラしていきます。
歯をピンセットでつまんで動かし、グラつく度合いを確認して、進行度を調べます。
治療方法
ブラッシング指導
ごく初期の歯周病を治すには、原因菌である歯垢除去が重要です。一人ひとりのお口の環境に適した正しいブラッシング方法を指導します。
スケーリング・ルートプレーニング
「スケーラー」という器具を使って歯周ポケット内の歯垢や歯石(歯垢が石灰化したもの)を徹底的に取り除く処置です。最後に、汚れがなくなったことでデコボコになった歯根面をみがき上げ、汚れの再付着を予防します。
ブラッシング指導
麻酔をして歯ぐきを切開して顎の骨からはがし、歯根を露出させます。その上で歯根にこびりついた歯垢や歯石、さらに歯周病に感染した歯肉を取り除き、治癒を促します。
GTR
歯周病菌によって溶かされた顎の骨を再生させる方法。歯ぐきの内側に「メンブレン」という特殊な膜を入れてスペースを確保し、骨の再生を促します。
エムドゲイン
GTRと同じく、溶かされてしまった顎の骨を再生させる方法。骨を再生させたい部分に「エムドゲインゲル」という薬剤を注入してスペースを確保し、骨の再生を促します。
院長のワンポイントアドバイス(歯周病編)
ポイント1
お口は全身の入り口です。お口が悪くなると全身に影響を与えてしまいます。全身のために、歯周病は早めに治療しましょう。
ポイント2
歯周病は、なかなか自分では気づくことができない病気です。日頃から定期検診に通い、プロの目によるチェックを受けることが大切です。